日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
炎症性腸疾患における interleukin-6 の血中動態
山川 正規
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キーワード: 炎症性腸疾患
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1993 年 90 巻 6 号 p. 1481-1488

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抄録

炎症性腸疾患における interleukin-6 (IL-6) の血中動態について, steroid hormone や salicylazosulfapyridine などの添加時を含めて検討した. 血清IL-6値の陽性率は, 健常者群 (n=20) に比べて活動期のクローン病 (n=12) および潰瘍性大腸炎 (n=9) で有意に高かった (p<0.01, p<0.01). 末梢血単核球のIL-6産生能は, 健常者群 (n=15) の.0±6.6ng/mlに比べ, 活動期のクローン病 (n=9) および潰瘍性大腸炎 (n=9) でそれぞれ22.8±15.1ng/mlおよび24.3±14.4ng/mlと有意に高かった (p<0.05, p<0.01). 経時的にIL-6産生量をみると, 健常者群, 炎症性腸疾患患者群ともに培養日数とともに増加し, 培養期間を通じて炎症性腸疾患患者のほうが高い傾向にあり, 単球のIL-6産生能は, 潰瘍性大腸炎(n=6, 4.4±1.4ng/ml) においては健常者群 (n=6, 1.7±0.8ng/ml) に比べ有意な上昇を認めた (p< 0.01). また, in vitro において, steroid hormone は濃度依存性にIL-6の産生を抑制した. 以上より, IL-6は炎症性腸疾患において, その病勢に深く関与しているものと考えられた.

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