1993 年 90 巻 8 号 p. 1682-1688
Crohn 病の合併症として腸管内外瘻はまれならず経験される. われわれは瘻孔が非常に細小なため通常の瘻孔造影やX線検査あるいは婦人科的検査や泌尿器科的検査ではその証明が不能であった9例に対して, ICG の経口または注腸投与を施行し, その有用性を検討した, 瘻孔または隣接臓器よりICGを検出した例を陽性とした. 経口投与法では9例中7例が陽性であり, 注腸投与では3例中3例が陽性であった. 最終的には9例中8例に瘻孔と腸管との連続性が証明された. さらに, 2例では内科的治療後に同検査が陰性化し治療効果の判定が可能であった. 本検査は瘻孔の存在が疑われても確診できない症例に対し有用な検査法と考えられた.