1993 年 90 巻 9 号 p. 2067-2075
propranolol の食道静脈瘤初回出血予防効果を検討するために, 内視鏡的硬化療法を対照治療法とした controlled study を行った. F2以上, RCサイン陽性, Beppu のスコアが1.14未満の食道静脈瘤を有し, 出血歴のない肝硬変65例を対象とし, 心拍数25%低下を来す propranolol の経口投与 (n=33) または内視鏡的硬化療法 (n=32) により治療した. 平均31カ月の追跡期間中に propranolol 群の5例, 硬化療法群の4例に出血がみられた. 両群の累積非出血率, 累積死亡率には有意差は認められなかった. propranolol は本邦における標準的治療法である硬化療法と同等の効果を示したことから, 食道静脈瘤の予防的治療法として有用と思われた.