日本消化器病学会雑誌
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膵疾患に対するHelical CTの有用性の検討
小林 剛藤田 直孝野田 裕木村 克巳八子 章生望月 福治
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1994 年 91 巻 11 号 p. 2083-2093

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抄録

膵疾患に対するHelical CTの撮影法および有用性を検討した.撮影法に関しては膵癌の進展度診断の際に重要となる膵周囲血管の十分な造影と,そのシネ表示の判定に有効な造影条件を検討した.その結果,造影剤注入から撮影までの至適な遅延時間は膵周囲動脈では30~40秒であった.門脈系静脈の至適な遅延時間は40秒以降であり,late phaseのscanの情報も必要となった.次に通常型膵癌の存在診断能を各種画像診断と比較した.画像上で腫瘍径の計測が可能であったか否かで判定すると,それぞれ,EUS97%,US93%,Helical CT91%,CT82%であった.また,Helical CTによって計測した通常型膵癌の腫瘍径は,標本径よりも若干小さく評価する傾向が示唆された.一方,Helical CTによる切除病変の質的診断率は78%であったが,診断できなかった例はいずれも特殊例であった.
最後に膵癌の進展度診断能を検討すると,Helical CTによる脈管浸潤の判定は,early phaseのdynamicなシネ表示が有効であり,血管造影所見とよく一致していた.しかし,門脈系静脈への浸潤判定は組織所見から検討すると正診率は71%であった.

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