1994 年 91 巻 12 号 p. 2183-2192
胃癌におけるコラーゲン受容体VLA-2,ラミニン受容体VLA-6の発現と,組織型および深部浸潤様式との関係を免疫組織化学的に検討した.未分化型癌の粘膜内部分と浸潤部とにおいて,VLA-2とVLA-6の発現はともに弱い傾向にあり,浸潤様式は89%の症例で非限局型を示していた.一方,分化型癌におけるVLA-2の発現は,粘膜内では弱いものの深部では浸潤様式によって異なり(p<0.01),限局型の症例では弱く,非限局型の症例では強い傾向にあった.分化型癌においてVLA-6は未分化型癌とは逆に粘膜内,浸潤部ともに強い発現を示す傾向にあった.以上より胃癌においてVLA-6は組織型と関連し,一方,VLA-2は浸潤様式と関連し,その意義は組織型によって異なる可能性が示唆された.