1994 年 91 巻 12 号 p. 2202-2213
HPの菌体成分を分離して得た各分画と,種々の胃・十二指腸病変患者血清とが強く反応した分画は,同時にマウス抗HPウレアーゼモノクロナール抗体とも反応し,しかもウレアーゼ活性を示した.また,他種のウレアーゼとの交差反応性は検出されなかったことより,患者血清中にはHPウレアーゼ特異的抗体が存在していることが判明した.さらに,精製HPウレアーゼをSDS/PAGEを用いてサブユニットに分離しwestern blot法にて追跡したところ,患者血清はいずれもウレアーゼのlarge subunitを構成しているB鎖を抗原認識部位としており,この蛋白が患者血清中に存在する抗HP IgG抗体の主たる認識部分であることを見いだした.