日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
原発性肝癌に対する皮下埋め込み式動注ポートを用いた間歇的動注療法
本法の治療成績とその治療的意義
小川 隆平中村 健治高田 恵二藤本 圭志臼杵 則朗神納 敏夫高島 澄夫小野山 靖人椿本 光男中塚 春樹田中 道代
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1994 年 91 巻 2 号 p. 171-179

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抄録

肝動脈塞栓術 (以下, TAE) の効果の期待できない原発性肝癌に対し皮下埋め込み式ポートを用いた間歇的動注療法を施行した. 本法の一次効果は評価可能な37例中CR3, PR12, NC10, PD12例で奏効率40.5%であったよ1年生存率は奏効例80.0%, 非奏効例4.5%, 全体では35.1%で一次効果と予後は相関していた (p<0.001). 本法の適応を知るためにTAEの既往の有無で症例を2群に分けて, 門脈浸潤度別の一次効果, 予後を検討すると, TAEの既往のない18例では門脈浸潤度と一次効果, 予後に相関はなかった. この群では本法施行前のone shot動注に反応を認めた例の奏効率が高かった. 一方, TAEの既往のある19例では門脈浸潤度の低い例の一次効果, 予後が良好であった.

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