日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
16,16-dimethyl prostaglandin E2のラット膵外分泌に及ぼす影響― in vivo および遊離膵腺房を用いたin vitro での検討―
吉岡 うた子中川 雅夫馬場 忠雄細田 四郎
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 91 巻 4 号 p. 875-886

詳細
抄録

外因性,内因性prostaglandinのラット膵外分泌に及ぼす影響を in vivo および in vitro で検討した.16,16-dimethyl prostaglandin E2(DMPGE2)を in vivo で投与すると,非投与群と比べて内因性CCK,外因性セルレイン刺激下では蛋白分泌量が,セクレチン刺激下では膵液量,重炭酸塩分泌量が低下した.遊離膵腺房を用いた検討では,DMPGE2 添加により,アミラーゼ基礎放出は変動せず,CCK-8 10-11~3×10-11M刺激下ではアミラーゼ放出量は低下した.セクレチン刺激下 DMPGE2 添加,セルレイン刺激下インドメタシン添加ではアミラーゼ放出量に変化はみられなかった.DMPGE2 添加により,セルレインによるcyclic GMPの増加は抑制されたが,cyclic AMPには変化はみられなかった.以上より,生理的,薬理的濃度のCCK刺激下では,DMPGE2 は膵腺房に対する直接作用により膵酵素分泌を抑制するが,それは cyclic AM Pではなくイノシトールリン脂質系を抑制している可能性が示唆された.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top