1994 年 91 巻 6 号 p. 1086-1096
上部消化管におけるpseudosarcomatous lesion37例について臨床病理学的に検討した.症例のほとんどは隆起性病変であり,非隆起性病変はごく一部であった.全例,表面にはびらんないし潰瘍を伴っていた.間質に一見肉腫を思わしめる異型細胞の増生がみられ,その異型度は病変部位および病変の隆起の有無と関係があり,食道胃接合部付近の病変に異型度の高いものが多く,非隆起性病変では異型度は低かった.異型間質細胞は免疫組織化学的に vimentin にのみ陽性であり,線維芽細胞様細胞と思われる.上部消化管病変の生検診断に当たり,この病変の臨床病理学的特徴を知ることは over-diagnosis の誤診を避けるうえで重要である.