日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
表面型大腸腫瘍の発育・進展に関する一考察
―sm癌149病変の内視鏡的・臨床病理学的検討から―
田中 信治立田 繁比古大津 直也赤木 盛久西田 寿郎小土井 淳則山中 秀彦吉原 正治春間 賢隅井 浩治梶山 梧朗嶋本 文雄
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1994 年 91 巻 7 号 p. 1182-1189

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抄録

大腸sm癌149病変を対象に,表面型大腸癌の発育・進展に関して検討を加えた.表面型早期大腸癌がsm浸潤することにより隆起する現象に着目し,sm癌を内視鏡的表面性状,組織学的な表面型粘膜内癌組織の残存,粘膜内隆起性発育の有無などの所見を参考に,表面型m癌起源病変とポリープ型m癌起源病変に分類した.その結果,表面型m癌起源病変は37病変であり,その大腸内分布は進行癌と類似性があったが,ポリープ型m癌起源109病変の大腸内分布は進行癌とは異なっていた.また,リンパ節転移率は表面型m癌起源病変がポリープ型m癌起源病変よりも有意に高かった.表面型m癌起源病変において腺腫成分を約20%に認め,表面型病変においてもadenoma-carcinoma sequenceが存在する可能性が示唆された.以上,表面型早期大腸癌は進行癌の初期病変として重要であり,ポリープ型早期大腸癌と比べ悪性度の高い病変であると考えられた.

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