1994 年 91 巻 7 号 p. 1190-1196
潰瘍性大腸炎(UC)1列の血漿ビトロネクチン(VN)濃度と組織におけるVNの局在を検討した.血漿VN濃度は健常成人例に比べUC例において有意に低下し,活動度,重症度に比例して低下した.また,同一例で検討すると,全例で活動期に比べ緩解期で血漿VN濃度が上昇した.免疫組織学的検討では,活動期の炎症性細胞浸潤の目立つ粘膜間質部にVNの局在を認めた.
以上より,VNはUCの炎症部位で血管から持続的に漏出し,組織修復のために消費され,その血漿濃度が変化すると考えられ,UCの活動度,重症度などの客観的指標となり,臨床上有用と考えられた.