日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
Transjugular Intrahepatic Portosystemic Shunt (TIPS)
―11例の治療経験とその考察―
中村 健治高島 澄夫林 正昇森本 敦子豊島 正実松尾 良一西尾 博神納 敏夫松岡 利幸小野山 靖人田中 道代関 守一小林 絢三
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1994 年 91 巻 7 号 p. 1210-1219

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抄録

11例の門脈圧亢進症患者に対してTIPSを試みた.対象は食道・胃静脈瘤破裂41列,繰り返す静脈瘤出血2例,下血2例,難治性腹水3例で,うち4例が肝癌,2例が門脈血栓症の合併を認めた.門脈穿刺は平均4.1回の肝穿刺で全例に成功したが,術前の3D-MRAにより肝静脈-門脈の立体的把握が容易となり,穿刺回数が減少した.短絡路の作製は門脈血栓症1例以外の10例に成功し,肝癌合併例にも合併症なく施行しえた.消化管出血8例中7例はTIPS施行後止血され,内視鏡的にも静脈瘤が6例で消失した.また,腹水6例は4例がほぼ消失,2例が著減した.門脈圧は術前平均42mmHgが術後には平均28mmHgとなり,1カ月後にfollow upされた2例ではそれぞれ9,14mmHgまでさらに低下した.以上の成績から,現状におけるTIPSのよい適応は,内視鏡的硬化療法で制御困難な消化管出血や保存療法無効な難治性腹水で,さらに肝癌合併例にも施行可能であるとの結論を得た.

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