日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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亜硝酸剤舌下投与による内視鏡的総胆管結石摘出術
内田 尚仁中津 敏明平林 修子江崎 徹三並 敦福間 博基松岡 裕士松岡 美穂谷内田 美景西岡 幹夫
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1995 年 92 巻 10 号 p. 1759-1764

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抄録

総胆管結石15例に対してニトログリセリン舌下錠投与により十二指腸乳頭括約筋を弛緩させ内視鏡的に結石の摘出を試みた.14例において完全除去が得られた.投与したニ卜ログリセリンは最高2錠(0.6mg)までで有効な乳頭開大が得られ,機械的砕石器も比較的容易に挿管可能であった.合併症として1例においてニトログリセリンによる血圧の低下がみられたが一過性で,意識レベルの変化もなかった.本法は簡便,かつ安全で乳頭括約筋機能の温存という意味でも有効な方法と思われた.今後長期観察が必要であるが,内視鏡的乳頭括約筋切開術に伴う有石胆嚢例における急性胆嚢炎など後期合併症の発生率の低下も期待できるものと思われる.

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