日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法に伴った門脈血行動態の変化に関する研究―特に再発との関連について―
星野 和彦松谷 正一税所 宏光大藤 正雄
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1995 年 92 巻 2 号 p. 120-129

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抄録

食道静脈瘤硬化療法を行った肝硬変63例で,治療後の門脈圧,脾の大きさ,および非静脈瘤側副血行路(側副血行路)の変化と食道静脈瘤再発の関連を検討した.(1)治療後の門脈圧上昇群は低下群に比べ,再発が有意に高率であった.(2)小さな脾は大きな脾より,治療後の増大が有意に著しかった.脾の増大群は非増大群に比べ,再発が有意に高率であった.(3)治療後,側副血行路の増大や出現を認めた.側副血行路を有する群の再発は,有さない群に比べ,低率であった.(4)重回帰分析の結果,再発への影響が最も大きい門脈血行動態の所見は,治療後の経過における側副血行路の有無であった.治療後の門脈血行動態の変化の把握は,食道静脈瘤再発の病態を理解するうえで重要と考えられた.

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