食道静脈瘤硬化療法を行った肝硬変63例で,治療後の門脈圧,脾の大きさ,および非静脈瘤側副血行路(側副血行路)の変化と食道静脈瘤再発の関連を検討した.(1)治療後の門脈圧上昇群は低下群に比べ,再発が有意に高率であった.(2)小さな脾は大きな脾より,治療後の増大が有意に著しかった.脾の増大群は非増大群に比べ,再発が有意に高率であった.(3)治療後,側副血行路の増大や出現を認めた.側副血行路を有する群の再発は,有さない群に比べ,低率であった.(4)重回帰分析の結果,再発への影響が最も大きい門脈血行動態の所見は,治療後の経過における側副血行路の有無であった.治療後の門脈血行動態の変化の把握は,食道静脈瘤再発の病態を理解するうえで重要と考えられた.