日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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表面型早期大腸癌,その深部浸潤性およびp53蛋白の過剰発現について
保坂 稔和田 了
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1995 年 92 巻 6 号 p. 925-931

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抄録

最大径20mm以下の表面型早期大腸癌(腫瘍高が正常粘膜高の2倍以内)41例について,その発育および進展性に関し病理組織学的ならびに免疫組織化学的に検討した.41例は粘膜内癌21例,粘膜下浸潤癌20例に,また表面隆起型癌25例と表面陥凹型癌16例に分類された.表面隆起型癌は腫瘍最大径が表面陥凹型癌のそれに比較して有意に大きく,腫瘍径の増大とp53蛋白の過剰発現様式がその深部浸潤性と有意な相関を示した.これに対し,表面陥凹型癌では腫瘍径の小さいものでも深部浸潤を示し,またp53蛋白の過剰発現も認められた.以上より,表面型早期大腸癌では表面隆起型と表面陥凹型で発育,進展性に差異を認め,表面陥凹型は悪性度が高いと考えられた.

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