治療後の経過観察が1年以上なされた最大径が2cm以下の肝細胞癌96例の再発様式を多中心性発生による異時性多発再発(MC)と肝内転移再発(IM)に分けて検討した.再発は57例59.4%の高率に認め,IM例は35例61.4%,MC例は22例36.4%であった.IMは初回治療後2年以内に多く認められ,初発癌の生物学的な悪性度の高い症例に多かった.MCは初回治療後の再発時期は一定しておらず,C型肝硬変に多く,初発癌の生物学的な悪性度との関連は認められなかった.MC例の再治療後の予後はIM例に比して良好で,予後制約因子とはなっていなかった.したがって再発を論ずる際にはその再発の内容を分けて治療に当たる必要があると考えられた.