日本消化器病学会雑誌
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CDDP,5-FU横隔膜下投与における大動脈周囲および腸間膜リンパ節内濃度に関する実験的検討
河原 秀次郎平井 勝也青木 照明
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1996 年 93 巻 11 号 p. 789-796

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抄録

ラットに5-FU 1ml(250mg/kg)またはCDDPは1ml(2.5mg/kg)を3種(横隔膜下投与,ダグラス窩投与,静脈内投与)の方法で投与し,大動脈周囲および腸間膜リンパ節内濃度の経時的変化について検討した.まず腹腔内投与群(横隔膜下投与群+ダグラス窩投与群)と静脈内投与群とを比較すると,腹腔内投与群では,高濃度の5-FUを投与した場合でも,通常投与濃度のCDDPを投与した場合でも同様の結果が得られ,末梢静脈内投与群より有意(p<0.01)にその濃度が高く維持され,約2.5倍であった.また腹腔内投与群における横隔膜下投与群とダグラス窩投与群を比較すると,有意差は認められないが横隔膜下投与群のほうがリンパ節内CDDP,5-FU濃度が高く維持される傾向が認められた.よって抗癌剤の横隔膜下投与の臨床応用が今後期待される.

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