日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
十二指腸潰瘍および十二指腸炎における胃上皮化生粘膜(胃型上皮)の経過―Helicobacter pyloriとの関連―
浦上 慶仁木村 倍士関 啓
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 93 巻 12 号 p. 893-902

詳細
抄録

十二指腸潰瘍に伴う胃上皮化生粘膜(胃型上皮)の出現程度は潰瘍の治癒に伴い増加する. H.pyloriの非除菌群では増加した胃型上皮は経過とともに未熟な状態となり, やがて潰瘍の再発へと向かう. 除菌成功群では胃型上皮は高度に発育, 成熟するとともに長期にわたりこの状態を維持し, 潰瘍の再発率が低下する. H.pyloriの除菌により瘢痕部に出現する成熟した胃型上皮は, その後, H.pyloriによる侵襲を受けないため, この状態の持続が可能であり, 酸に対する防御機能を維持するとともに潰瘍の再発が防止されていると考えられる. すなわち,ここに十二指腸潰瘍の自然史が変化する.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top