日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
旋尾線虫幼虫type Xの関与が強く示唆されたホタルイカ生食による急性腹症10例の臨床的検討
青山 庄樋上 義伸高橋 洋一吉光 裕草島 義徳広野 禎介高柳 尹立赤尾 信明近藤 力王至
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1996 年 93 巻 5 号 p. 312-321

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抄録

1994年春,ホタルイカを内臓ごと生食後に旋尾線虫幼虫type Xによると思われる急性腹症を呈した10例を経験した.症状では,全例に腹痛,9例に嘔気・嘔吐,4例に下痢,6例に腹水を伴った腸閉塞と1例に皮膚爬行疹を認めた.検査所見では,経過中において,全例に末梢血の好酸球増多,9例に血清IgE値増加が認められた.ホタルイカ内臓の約3%に旋尾線虫幼虫type Xが寄生しているとの報告から,その抗体価を測定したところ,9例中7例で陽性を示した.1例では,腹膜炎の診断で回腸部分切除術が行われ,組織学的に,局所的なびらんと粘膜下層内に著明な好酸球とリンパ球浸潤を伴う炎症所見が認められたが,9例は保存的治療で軽快した.

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