日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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慢性肝疾患における門脈系血流の変化 ―超音波パルスドプラ法による検討―
佐藤 重信椿 哲也賀古 眞金井 弘一
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1996 年 93 巻 5 号 p. 331-337

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抄録

超音波パルスドプラ法を用いて各種肝疾患および正常人の門脈血流量(PV),脾静脈血流量(SV),うっ血係数(CI)および脾静脈/門脈血流量比(SV/PV%)を測定し,以下の結論を得た.(1)うっ血係数の計測でみると門脈圧は慢性活動性肝炎の段階から増加しはじめていると考えられた.(2)脾静脈血流量は慢性肝炎から増加が始まり,肝硬変症ではさらに増加しており肝硬変症での門脈圧亢進に影響していると考えられた.(3)脾静脈血流量の増加は肝内門脈血流成分の変化を引き起こし肝予備能の低下に関与する可能性が考えられ,肝機能の指標になると考えられた.(4)脾静脈/門脈血流量比は食道静脈瘤合併肝硬変で急増することから静脈瘤合併の有無の予測に有用な指標になりうると考えられた.

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