1996 年 93 巻 6 号 p. 391-397
大腸腫瘍患者の糞便と腫瘍組織からmutant-allele-specific amplification(MASA)を用いてK-ras遺伝子点突然変異を解析した.大腸癌の25%(10/40),大腸腺腫の30%(3/10)で糞便中に変異が検出された.腫瘍組織に変異を認めた症例における糞便中変異検出率は,大腸癌で71.4%(10/14),大腸腺腫で100%(3/3)であった.検出率を占居部位,腫瘍径別にみると,有意差は認めないが遠位大腸の癌,小さな癌で低かった.糞便中における癌関連遺伝子異常の解析は大腸癌診断の一検査法となる可能性が示唆された.