1996 年 93 巻 8 号 p. 537-543
両側頸部迷走神経切断,アドレナリン作動性遮断薬で前処置した麻酔ラットを用い,結腸内圧より遠位結腸運動に関与するnitric oxide(NO)の役割について検討した.atropine(1mg/kg iv)投与後,NO合成酵素阻害剤のNG-monomethyl-L-arginine(100mg/kgiv)により血圧と結腸内圧の著明な上昇を認めた.NO合成の基質であるL-arginine(100mg/kg iv)にて血圧,結腸内圧は低下し,NG-monomethyl-L-arginine投与前値に回復した.atropine非投与下のNG-monomethyl-L-arginine単独投与では結腸運動に変化を認めなかった.以上の結果より,遠位結腸運動の制御に内因性NOが関与することが示唆され,また,NO非依存性の機序も運動調節に重要であることが示された.