1996 年 93 巻 9 号 p. 613-619
早期胃癌108例(m癌71例,sm癌37例)におけるc-erbB-2およびnm23の発現を免疫組織化学的に検討した.c-erbB-2の発現はsm癌でm癌に比べ有意に高率であり,sm癌の中でもsm3でsm1に比べ高率の傾向を示した.また,c-erbB-2の発現はm癌,sm癌ともにリンパ節転移例で有意に高率で,転移巣で原発巣に比べ陽性率は増強した.一方,nm23は深達度との関連はなく,m癌,sm癌ともに有意差はないもののリンパ節転移例で低率で,転移巣でのnm23の発現は認められなかった.以上よりc-erbB-2は深達度および転移への関与が認められ,nm23は転移抑制への関与が示唆された.