日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
エンドトキシンによる肝細胞障害発生機序に関する研究
―Kupffer細胞と多核白血球の関与について―
村井 アトム嶋田 紘中川原 儀三
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1996 年 93 巻 9 号 p. 620-627

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抄録

エンドトキシン(LPS)肝細胞障害における,Kupffer細胞(KC)・多核白血球(PMN)の関与をKCの産生する腫瘍壊死因子(TNF)に着目し検討した.LPS刺激を加えたKC培養上清をLPS刺激上清とし,OCT%leakageを肝細胞障害の判定に用いた.LPS刺激上清は単独で,PMNはLPS刺激上清の存在にて肝細胞障害を引き起こした.抗TNF抗体をLPS刺激上清に加えることにより,LPS刺激上清単独の肝細胞障害は抑制されなかったが,PMNによる肝細胞障害は抑制された.すなわち,KCの産生するTNF以外の液性因子,ならびにKCの産生するTNFによって活性化したPMNが,LPS肝細胞障害の一因である可能性が示唆された.

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