1996 年 93 巻 9 号 p. 634-643
膵疾患症例に対してthree-dimensional-CT pancreatography(3D-CTP)を施行し,膵疾患におけるその臨床的意義について検討した.対象は膵癌2例,粘液産生膵嚢胞3例,慢性膵炎8例(内仮性嚢胞合併4例)の計13例である.3D-CTPにより膵癌では2例とも主膵管のtapering状の狭窄が,膵嚢胞では7例全例で嚢胞の形状や嚢胞と膵管の関係が,主膵管壁に不整のある慢性膵炎3例中2例で壁不整のある主膵管が立体的に構築できた.さらに膵嚢胞7例中3例にバルーンERPでは不明な嚢胞の膵管への合流様式を描出できた.3D-CTPは膵疾患の三次元的把握にきわめて有用で,今後手術シミュレーション,interventional radiologyや膵疾患の質的診断への応用が期待される.