日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
内視鏡下留置バルーンカテーテルによる膵管充満造影法(バルーンERP)を用いたthree-dimensional-CT pancreatography
―その方法と有用性について―
植木 敏晴坂口 正剛大原 次郎田中 正彦頼岡 誠山本 淳也植木 光彦櫻井 俊弘八尾 恒良
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1996 年 93 巻 9 号 p. 634-643

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抄録

膵疾患症例に対してthree-dimensional-CT pancreatography(3D-CTP)を施行し,膵疾患におけるその臨床的意義について検討した.対象は膵癌2例,粘液産生膵嚢胞3例,慢性膵炎8例(内仮性嚢胞合併4例)の計13例である.3D-CTPにより膵癌では2例とも主膵管のtapering状の狭窄が,膵嚢胞では7例全例で嚢胞の形状や嚢胞と膵管の関係が,主膵管壁に不整のある慢性膵炎3例中2例で壁不整のある主膵管が立体的に構築できた.さらに膵嚢胞7例中3例にバルーンERPでは不明な嚢胞の膵管への合流様式を描出できた.3D-CTPは膵疾患の三次元的把握にきわめて有用で,今後手術シミュレーション,interventional radiologyや膵疾患の質的診断への応用が期待される.

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