日本消化器病学会雑誌
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本邦のC型慢性肝疾患におけるクリオグロブリン血症についての検討
巴 雅威高取 正雄岩渕 省吾飯野 四郎
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1997 年 94 巻 4 号 p. 241-248

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抄録

C型慢性肝疾患でのクリオグロブリン(CGs)出現の実態について,各種肝病態,ウイルス量,genotypeなどとの関連性を検討した.一般臨床検体1340検体では,16例(1%)がCGs陽性であり,このうち8例(50%)が血中HCV-RNA陽性であった.C型慢性肝疾患では全体で63%に検出されたが,肝組織像と比較すると,F3で88%,A3で92%と肝組織進展と活動性の強い例で高率に検出された.CGs陽性例ではIgG,IgM,transaminase,γ-GTPが有意に高値を示し,RA test,C3dCICが高値傾向を示したが有意差は認めず,抗核抗体陽性率,HCV-RNA量,genotypeとの関連も認めなかった.以上より,本邦でもCGs形成にはHCV感染,とりわけ肝炎の活動性や組織進展とのかかわりが判明したが,肝外症状は乏しく,欧米例に比しCGs量,CGsに対する免疫応答の相違が示唆された.

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