日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)によるrefractory ascitesの治療
金沢 秀典長田 祐二吉本 均楢原 義之間宮 康貴斎藤 整松坂 聡多田 教彦小林 正文川俣 博志隈崎 達夫
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1998 年 95 巻 3 号 p. 221-229

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抄録

大量のrefractory ascitesを有する肝硬変5例を経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)により治療した.術前は塩分5g制限下にfurosemide 112mg/日,spironolactone 140mg/日,アルブミン,腹水穿刺などで治療したが改善を認めなかった.TIPS施行後,尿量,尿中Na排泄量は有意に増加し,体重は術前73kgから1カ月後63kgへ減少し,利尿剤の減量が可能であった.退院時,2例では腹水は消失し,3例では少量残存した.退院後4例に短絡路狭窄が生じ腹水は悪化したがバルン拡張術後には改善した.術後2例に肝性脳症を認め1例は治療抵抗性であった.TIPSは短絡路狭窄,肝性脳症の問題があるもののrefractory ascitesの治療に有用と思われた.

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