日本消化器病学会雑誌
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肝硬変合併肝細胞癌に対するProstaglandinE1動注をともなった反復Chemolipiodolization
柿添 三郎柿添 由美子柿添 忍
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1998 年 95 巻 4 号 p. 311-316

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抄録

肝細胞癌合併重症肝硬変症例7例に対し, リザーバーを用いてProstaglandinE1(PGE1)の動注を行いながらchemolipiodolizationを頻回に行う“Frequent Chemolipiodolization & Prostaglandin E1 administration Therapy(FCPT)”を行った. Chemolipiodolizationは6例に対し4週に1回行った. PGE1は,全例にリザーバーを介して開始時に7日間連続で10ないし20μg/4時間で行い,以後は1週間毎に同量動注した. Chemolipiodolizationを行った6例で腫瘍治療効果度は, TE-Vが1例, TE-IVが3例, TE-Iが2例だった. Chemolipiodolizationを頻回に行ったにもかかわらず, ヘパプラスチン値は6例中4例で不変あるいは改善し, Chemolipiodolizationを行わなかった1例も初期に改善が見られた. 長期生存例で血清総蛋白の上昇も見られた.全例で, 全身倦怠感の消失が見られた. 5例はFCPT施行前に腹水を認めたが施行後徐々に減少した. 以上より, 重症肝硬変を合併した肝細胞癌の治療にFCPTは有用であり, また, PGE1の動注は肝硬変症例の肝機能改善に寄与している可能性があると考えられた.

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