日本消化器病学会雑誌
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肝内結石症肝胆汁中の糖タンパク質の性状
山崎 総一郎吉原 秀一佐々木 睦男
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1999 年 96 巻 7 号 p. 817-823

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抄録

肝内結石症肝胆汁中のムチン糖タンパク質の性状を調べるために,本症患者と対照群の肝胆汁からムチン糖タンパク質をゲルろ過,超遠心法を用い精製し,生化学的に分析し比較検討した.またムチン糖タンパク質からヒドラジン分解で糖鎖を切り出し同様に比較検討した.本症肝胆汁中のムチン糖タンパク質の濃度は,対照群に比較し約10倍であった.また分子量,アミノ酸では,有意な差異はなかったが,糖組成ではN-ガラクトサミン,硫酸が本症胆汁で有意に増加していた.ムチン糖タンパク質の構成糖鎖を検討すると,本症のムチン糖タンパク質の糖鎖は糖鎖長の短い糖鎖が主体に構成されており,対照群ムチン糖タンパク質とは異なる代謝や生理機能を有する可能性を持つことが示唆された.

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