日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
肝転移再発後に異所性ACTH症候群を呈した膵頭部ガストリン産生腫瘍の1例
大西 一朗小西 孝司舩木 健一郎佐藤 貴弘荒川 元加治 正英木村 寛伸前田 基一薮下 和久臼田 里香三輪 淳夫
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1999 年 96 巻 9 号 p. 1079-1084

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抄録

膵原発のガストリノーマは肝転移やリンパ節転移を有することもあり,根治切除が不可能となる場合もある.また,ガストリン以外にも様々なホルモンを産生することが知られており,ACTHを産生した場合にはいわゆる異所性ACTH症候群を呈して予後不良である.我々は,原発巣および肝転移切除後に多発肝転移再発を来たし,異所性ACTH症候群を発症した膵原発ガストリノーマの1例を経験し,Transcatheter Arterial Embolization(以下TAE)とオクトレオチドを用いたところ奏効し,ACTH,ガストリンとも術前のレベルまで改善し,腹痛,下痢等の症状も軽快した.CTでは1回目のTAE直後に認められたS4の大きな腫瘍が2回目のTAE直後はおよそ25%の縮小率を示し,また,満月様顔貌も2回目TAE施行時にはほぼ消失しており,初診時より2年4カ月の現在,症状はなく,外来通院で治療中である.

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