日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
慢性膵炎における脂肪便の病態解析
中村 光男丹藤 雄介
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2000 年 97 巻 11 号 p. 1347-1354

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抄録
非代償期慢性膵炎患者は膵性脂肪便や膵性糖尿病を合併することが多い.前者の診断には糞便の肉眼的観察とともに糞便中脂肪排泄量を簡便に定量できる近赤外分光法が最もすぐれている.また蓄便なしに膵機能不全を診断するためには13C-混合中性脂肪を用いた呼気13CO2脂肪消化吸収試験を行うことがよりよい.膵性脂肪便を確診したら大量の膵消化酵素による補充療法を行うべきである.しかし,膵性脂肪便患者は炭水化物吸収不良も合併していることが多いので,インスリン治療と膵消化酵素治療法を連動して考え,更に栄養状態改善を治療のゴールとすべきである.
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