2000 年 97 巻 3 号 p. 347-352
症例は48歳,男性.上顎癌の再発に対する治療中に発熱が出現.好中球を主体とする白血球増多があり,画像診断にて肝S3に径5×3cmの腫瘤を認めた.肝腫瘍生検にて未分化癌の診断を得たが,多発肝内転移および癌性腹膜炎で死亡した.経過中白血球数は50000/μl(好中球93%)まで増加し,血清G-CSFは213pg/mlと高値を示した.剖検にて肝内胆管癌と診断し,免疫組織化学染色にてG-CSF産生腫瘍が示唆された.G-CSF産生肝内胆管癌の報告は本邦3例目であり,発熱をともなう場合には肝膿瘍との鑑別が必要であり,貴重な症例であると考えられた.