日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ヘリコバクター・ピロリの分子生物学
菅野 健太郎
著者情報
ジャーナル フリー

2000 年 97 巻 4 号 p. 407-415

詳細
抄録

ヘリコバクター・ピロリ(HP)は,すくなくとも2つの異なる菌株の全ゲノム構造が明らかにされた最初の細菌である.ゲノム構造の解析や比較によって,HPは変異に富む細菌でありそれが限られたゲノムサイズにかかわらず環境に適応し生存を可能にする仕組みであると考えられる.本総説では,特に臨床的に問題となるHPの病原因子の遺伝子や機能,薬剤耐性の分子機構などに焦点を絞ってHPの分子細菌学の最新の知見を紹介し,それによって導かれるいくつかの仮説や今後の研究課題を述べた.

著者関連情報
© 財団法人 日本消化器病学会
次の記事
feedback
Top