2000 年 97 巻 5 号 p. 568-574
C型慢性肝炎患者をIFN投与群と非投与群に分け,口腔扁平苔癬の出現について検討した. lFN投与群での口腔扁平苔癬の出現率は非投与群に比し有意に高率であったが,HCVRNA量,HCV遺伝子型は口腔扁平苔癬出現例と非出現例の間で差異は認められなかった. またIFN治療効果と口腔扁平苔癬の予後との間に明らかな関連はみられず,IFNにより誘発された口腔扁平苔癬6例中3例は血中HCVRNA消失後に発症を認めた.すなわち,C型慢性肝炎患者にてIFNにより誘発される口腔扁平苔癬はHCV感染自体による可能性は少なく,HCV感染によって生じた潜在性病変にIFN投与による宿主の反応が加わり発症する可能性が示唆された.