日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
C型慢性肝炎における口腔扁平苔癬とインターフェロン治療との関連に関する臨床的検討
杉山 照幸清水 勝大西 弘生野口 顕広岩田 圭介小島 康志渡辺 裕川瀬 光八郎福富 尉山内 治安田 成雄山田 昌夫小林 成禎小島 峯雄
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2000 年 97 巻 5 号 p. 568-574

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抄録

C型慢性肝炎患者をIFN投与群と非投与群に分け,口腔扁平苔癬の出現について検討した. lFN投与群での口腔扁平苔癬の出現率は非投与群に比し有意に高率であったが,HCVRNA量,HCV遺伝子型は口腔扁平苔癬出現例と非出現例の間で差異は認められなかった. またIFN治療効果と口腔扁平苔癬の予後との間に明らかな関連はみられず,IFNにより誘発された口腔扁平苔癬6例中3例は血中HCVRNA消失後に発症を認めた.すなわち,C型慢性肝炎患者にてIFNにより誘発される口腔扁平苔癬はHCV感染自体による可能性は少なく,HCV感染によって生じた潜在性病変にIFN投与による宿主の反応が加わり発症する可能性が示唆された.

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