2001 年 98 巻 10 号 p. 1154-1163
胃・十二指腸に病変の主座を有する悪性リンパ腫(非ホジキンリンパ腫)29例を対象として,非切除治療法の効果を検討した.MALTリンパ腫を含むStageI~IIIの症例に対しては,Helicobacter pylori除菌,化学療法,放射線療法を組み合わせることにより完全寛解に導入することができ,他病死例3例以外は寛解を維持しこれらの症例では本治療法で寛解に導入できると考えられた.StageIVの症例に対しても,5096の症例では化学療法により完全寛解に導入することができた.本検討成績から,現在我々の施行している胃・十二指腸原発悪性リンパ腫に対する非切除根治治療は,患者のQOLを保ちかつ極めて有効であると考えられた.