日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ステロイド抵抗性・依存性遠位潰瘍性大腸炎に対するメサラミン注腸の有用性
長沼 誠岩男 泰緒方 晴彦船越 信介高木 英恵中野 雅一松 収江崎 俊彦久松 理一井上 詠日比 紀文石井 裕正
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2001 年 98 巻 2 号 p. 151-156

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抄録

遠位潰瘍性大腸炎におけるメサラミン(ペンタサ)注腸の有効性について検討した,治療前の臨床背景は全例ステロイド抵抗性または依存性の症例であった,肉眼的血便が消失した例は2週後3例(1896),4週後8例(5096)であった.治療前後のCAIスコアは8.1から3.6に減少していた(p<0.001),また経口平均プレドニゾロン量は1カ月間で128mgから7.3mgに減少していた(p<0.01).3例は注腸による腹部違和感のため,1例は発熱・発疹のため治療が中止された.患者の年齢,性別,罹病期間,病型,経ロステロイド量については血便消失例,非消失例で差は認められなかったが,血便が消失しなかった例はCAI,Mattsの重症度スコアが有意に高く,より重症例が多かった.以上よリメサラミン注腸は軽症から中等症のステロイド抵抗性・依存性遠位潰瘍性大腸炎の臨床症状の改善,ステロイド減量効果に有用である可能性が示唆された.

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