2001 年 98 巻 5 号 p. 564-568
症例は68歳,女性.蛋白尿,浮腫を主訴に入院した.低補体血症,高IgM血症,クリオグロブリン血症を認め,腎生検で膜性増殖性糸球体腎炎の所見が得られた.同時に肝機能障害,HCV RNA血症を認め,組織学的に慢性活動性肝炎像を示した.クリオグロブリン血症,膜性増殖性糸球体腎炎をともなった慢性C型肝炎と診断し,インターフェロン療法を施行した.HCV RNAの陰性化と共に尿蛋白の著減,クリオグロブリン血症の改善がみられた.本症例はクリオグロブリン血症,膜性増殖性糸球体腎炎,慢性C型肝炎の相互の関連性を強く示唆する貴重な症例と考えられた.