日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
ラット大腸粘膜へのマイコバクテリウムheat shock protein65コードプラスミドDNA導入による粘膜免疫の誘導
折笠 博史佐藤 由紀夫吉岡 良二斎藤 文子入澤 篤志坂 充宮田 昌之小原 勝敏粕川 禮司
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2001 年 98 巻 9 号 p. 1048-1059

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抄録

Heatshock protein(hsp)65に対する免疫反応が炎症性腸疾患の病因に関与することが推定されている.hsp65のcDNAをコードするプラスミドDNAをリボソームを用いて,Wistarラット大腸粘膜に導入することにより,hsp65に対する全身系の液性および細胞性免疫が誘導された.さらに糞便中の抗hsp65IgA抗体測定(ELISA法)では,導入4週(40±9U/ml)後に対照(プラスミドDNAの皮下注射群)の4週値(8±5U/ml)に比して有意(p<0.05)な上昇を示し,消化管粘膜免疫反応が誘導されることが示された.しかし,hsp65に対する粘膜免疫反応が誘導されたラットにおいて大腸粘膜組織の障害は認められず,hsp65に対する粘膜免疫のみでは大腸粘膜障害はおきないと推定された.

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