2002 年 99 巻 10 号 p. 1186-1190
慢性膵炎全体の約4096に認められる膵石は膵管内に形成され, 膵液のうっ滞助長を介して疼痛発症とともに膵炎の増悪因子となる. 最近, 体外衝撃波結石破砕療法 (ESWL) が開発されて以来, 膵石の除去と膵管減圧が内科的にも積極的に取り組めるようになった. 適応があれば, ESWLと内視鏡による膵石治療は安全であり, 中期的には疼痛の緩解によりQOLを保つ上で優れた治療法といえる. しかし, 再発症は治療後5年以内に20-4096にみられる. その限界を理解すれば, アルコール多飲など原因の回避・除去をはじめ, 食餌療法, 膵消化酵素製剤などによる基本的な内科療法とともに膵石症の疼痛対策に新たな展望が開かれてきた.