日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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肝細胞増殖因子(HGF)による再生医療の展望
肝再生医療の展望
井戸 章雄坪内 博仁
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2002 年 99 巻 12 号 p. 1436-1442

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抄録

肝細胞増殖因子(HGF)は劇症肝炎患者血漿から単離された肝再生因子で,種々の上皮細胞に対する増殖促進作用のみならず,抗アポトーシス作用,抗線維化作用など多くの生理活性を有している.これまで我々はHGFの臨床応用を目指してきたが,2004年には人体へ投与可能な遺伝子組み換え型ヒトHGFが供給される.このような進展をうけて,2002年7月に劇症肝炎,成人生体肝移植,肝硬変を対象にした「HGF肝再生医療プロジェクト」がトランスレーショナルリサーチとしてスタートした.劇症肝炎や肝移植患者ではHGF投与が肝再生のみならず,抗アポトーシス作用を介した病態進展阻止や拒絶反応軽減などの効果をもたらすことが期待される.一方,肝硬変ではHGFによる肝再生・抗線維化作用から肝予備能改善,さらには発癌抑制をもたらすことが期待されるが,HGFの発癌性は否定できないため,その投与には慎重な判断が求められる.

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