日本消化器病学会雑誌
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Print ISSN : 0446-6586
慢性肝炎に対する抗ウイルス療法
B型肝炎治療の新しい展開
熊田 博光
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2002 年 99 巻 2 号 p. 131-138

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抄録

B型肝炎においては,この10年間で肝臓癌の死亡数はほとんど減少していないのが現実である.その一つの原因としては,B型肝炎においてはe抗原からe抗体にseroconversionし,トランスアミナーゼが正常化した群からも肝癌が出現することが考えられる.最近,B型肝炎に対して核酸アナログ体であるラミプジンが保険適用になり,またインターフェロンの6カ月の長期療法も可能となった.その結果,B型肝炎に対して主としてキャリアーからの重症化に関しては,ラミプジンが治療の第1選択であり,その治療効果が確かめられつつある,またB型肝炎の予後については,genotype Bは予後がよく,genotype Cは予後が悪いこと,さらにはコアプロモーターの変異などにも規定されることが明らかとなった.こうしたことからB型肝炎はその治療法の選択にあたっては,genotype,ウイルス量,遺伝子変化など種々の要因を考え,また薬剤に関してもラミブジン,インターフェロン長期療法が主体となると考えられた.

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