日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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電子顕微鏡像が診断に有用であった悪性腹膜中皮腫の1例
藤原 圭加藤 秀章日下部 篤宣中村 中高井 弘之遠山 卓横江 正道根本 聴杉原 寛治林 勝男荻野 眞孝都築 豊徳
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2002 年 99 巻 9 号 p. 1114-1118

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抄録

症例は,47歳,女性.主訴,腹部膨満,体重減少.腹水貯留のため当院入院となる.腹水は滲出性でヒアルロン酸が高値を示した.各種検査にて確定診断に至らず,腹膜中皮腫,結核性腹膜炎,癌性腹膜炎の鑑別診断のため試験開腹術を施行した.開腹所見では大網,腸間膜に無数の赤黄色調結節を認め,他臓器には異常を認めなかった.腹膜中皮腫が疑われたが,腺癌との鑑別のため電子顕微鏡での検討を行った.微絨毛の長さ/直径値(L/D ratio)の平均値が11を越え,腹膜中皮腫と診断した.腹水に対して腹腔内にシスプラチンの投与を繰り返し行ったが,3年10カ月後に死亡した.腹膜中皮腫の診断において電子顕微鏡像による検討は有用であると考えられた.

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