2016 年 1 巻 1 号 p. 37-43
【目的】コイル塞栓術後,脳実質内に造影される多発病変が出現した1 例を経験したので報告する.【症例】74 歳男性,未破裂脳動脈瘤に対してコイル塞栓術を施行した3 週間後に頭痛・複視・幻覚を呈しMRI にてaccess route に一致した多発する小さなring enhancement を示す病変が出現し,ステロイドにて症状・画像ともに著明に改善した.脳血管内治療後に脳実質内に出現する病変として使用したデバイスから剝離したpolyvinylpyrrolidone(PVP)に対する肉芽腫性反応の報告が散在している.本症例は生検による確定診断が得られていないが,所見・経過などから同様の機序が疑われた.【結論】血管内治療後の稀な合併症として異物塞栓による肉芽腫があることに留意する必要がある.