2017 年 2 巻 1 号 p. 11-17
【目的】コイル塞栓術後15 カ月で発症したステント内血栓症を報告する.【症例】54 歳,女性.未破裂左内頚動脈瘤と左前大脳動脈瘤を認めた.左内頚動脈瘤にステント支援下コイル塞栓術を施行した.抗血小板剤は術後12 カ月で終了し,15 カ月で左前大脳動脈瘤にクリッピング術を行った.術後右片麻痺と失語症が出現し,CTA でステント内に血栓を認め,再開通療法を行ったが脳梗塞が出現した.手術による血小板凝集能,血液凝固能の亢進により,ステントの血管壁への密着が不良であった部分に血栓が生じたと考えられた.【結語】ステントの留置に注意を払うのは無論のこと,多発脳動脈瘤におけるコイル塞栓術と外科手術の治療順は,症例に応じて検討する必要がある.