2018 年 3 巻 1 号 p. 21-28
【目的】再開通した症候性内頚動脈閉塞に対し,頚動脈ステント留置術(CAS)を行った1 例を報告する.【症例】78 歳男性.一過性の左同名半盲で発症.MRIで右前脈絡叢動脈領域の脳梗塞,右内頚動脈閉塞と左内頚動脈狭窄を認めた.当初左側のCAS を施行したが,発症4カ月での頚動脈エコー検査で右内頚動脈の再開通を認め,右側のCAS を施行した.長い高度狭窄病変であり,塞栓防止は遠位フィルターだけでなく,近位総頚動脈および外頚動脈に対しても行った.経過良好で術後8 日目に退院した.【結論】急性期の内頚動脈閉塞は再開通をきたす可能性があり,経過観察が必要である.本症例のような高度で長い狭窄病変に対しては内頚動脈に加え,総頚動脈や外頚動脈の塞栓防止が有用である.