2019 年 4 巻 2 号 p. 90-94
【目的】脳底動脈閉塞を呈した急性期脳梗塞に対して,左橈骨動脈穿刺で機械的血栓回収療法を行い良好な結果を得たため,文献的考察を加えて報告する.【症例】73 歳男性.意識障害で発見され,救急搬送.National Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS) 25 点.頭部CT で脳底動脈先端部にhyper dense sign を認め,機械的血栓回収術を施行.右椎骨動脈は閉塞し,左椎骨動脈は起始部に高度狭窄を認めた.左椎骨動脈は起始部で屈曲しており,左橈骨動脈穿刺に変更し,まず狭窄部に対して経皮的血管形成術を施行した後に,脳底動脈閉塞部の血栓回収し,完全再開通を得た.【結語】脳底動脈閉塞に対する機械的血栓回収療法において、完全再開通までの時間はできるだけ短くすべきである。左橈骨動脈穿刺に変更したことで、狭窄の通過が容易となった.