脳血管内治療
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原著
神戸宣言,その後:急性期脳梗塞に対する血管内治療の普及の取り組み─中部地方における急性期血栓回収療法の現状と取り組み─
桑山 直也榎本 由貴子宮地 茂間瀬 光人太田 圭祐浅井 琢美小山 淳一当麻 直樹平松 久弥内山 尚之松田 謙秋岡 直樹泉孝 嗣郭 泰彦中原 一郎根来 真滝 和郎
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2019 年 4 巻 4 号 p. 185-199

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抄録

【目的】2016 年に日本脳神経外科学会学術総会で発表された急性期血栓回収療法(MT)における「神戸宣言」を受けて行われた全国調査によってわが国の実態が明らかとなった.今回,同調査における中部地方の2016 年の現状を解析し,その結果に基づいて始まった中部地方における各地の取り組みについて報告する.【方法】本全国調査は脳梗塞に対する血管内治療を普及させるためのプロジェクト(Recovery by Endovascular Salvage for Cerebral Ultra-acute Embolism-Japan Project: RESCUE-Japan Project)の一環として行われた全国調査の中で,中部地方8県(愛知県,石川県,岐阜県,静岡県,富山県,長野県,福井県,三重県)のデータを抽出し,各県の治療件数,日本脳神経血管内治療学会専門医数などについて解析を行った.またRESCUEJapan後の取り組みについて各地からの報告をまとめた.【結果】中部地方8 県を総合すると,人口10 万人当たりのMT の実施数は4.99 件であり,全国平均の6.06 件と比較して,少ないことが明らかとなった.また,日本脳神経血管内治療学会専門医数についても,人口10 万人当たり0.53 名と,全国平均の0.85 名を下回っていた.中部8 県の中では三重県が人口10 万人当たりの治療数が8.41 件と最も多く,次に福井県が6.39 件であり,全国平均を上回っていた.一方,他6 県はいずれも全国平均を下回っていた.また二次医療圏別に人口10 万人当たりのMT 数を解析したところ,各県内においても二次医療圏ごとに治療数に大きな格差があることが示された.【結論】2016 年の中部地方においては,全国平均に比べて人口当たりの治療件数がやや少なく,専門医数も少なかった.これを受け,中部地方においては本法実施医の養成によるMT の普及が喫緊の課題であるととらえた結果,2017 年から各地においてさまざまな取り組みが着手され,現在,相応の成果が挙げられている.

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© 2019 特定非営利活動法人 日本脳神経血管内治療学会

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