日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1M10
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一般演題
妊娠中の乳房・乳頭ケア効果の実際
乳房カルテ作成と自己マッサージ指導を取り入れて
安藤 美由紀三輪 詩枝大西  君江安藤 尚子吉田 里江子
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キーワード: 乳房・乳頭ケア, 妊娠中
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抄録

はじめに
 今回乳房カルテを作成し、妊婦健診時に個別で乳房・乳頭ケアの指導を取り入れることにした。妊娠中からのケアによって、産後の母乳育児に大きく影響することが明らかになったので報告する。
I.研究目的
 妊娠中の乳房・乳頭自己マッサージを取り入れたことによる効果を明らかにする。
II.研究方法
1)対象
・平成15年7月から平成16年6月までに出産された経産婦21名、初産婦12名の計33名。
・妊娠16週以降の妊婦で早産の治療をしていない妊婦とする。また、乳房チェックを拒否された妊婦を含まない。
2)実施方法
乳房カルテ表現基準を参考に乳房カルテを作成し、妊婦健診来院時個別の部屋にて、両乳房・乳頭・乳輪のチェックを行ない乳房カルテに記入する。乳房、乳頭の状態にあわせて、乳房マッサージおよび、乳頭圧迫方法・乳管開通法・乳頭清潔ケアの指導をし、必要時母乳の利点も説明した。
3)測定方法
平成14年4月から平成15年3月までの退院時母乳栄養率および、初回授乳分泌量・2回目授乳分泌量・母乳栄養のみになった日数の調査をし、乳房チェックを行なった33名と比較する。
III.結果および考察
前年度とケア後の退院時母乳率を比較すると、ケア後のほうが約2倍に上昇している。初回授乳分泌量では、ケア後は母乳栄養の0gの率は前年度の約半分になっており、また1-4gの分泌量が前年度の約2倍に増加していた。これは妊娠中からのケアが乳頭の柔軟化をはかり、乳管が開通したために、スムーズに直母の開始ができたからではないかと考える。
 2回目の分泌量でも、ケア後のほうが分泌量の増加がみられた。また、混合栄養は前年度もケア後も初回、2回目を問わず0gの率が高くみられた。ケア後は産褥早期から乳汁が分泌しやすい状態となっており、乳房マッサージの効果といえる。
母乳栄養のみになった日数を比較すると前年度は6日目が多くみられたのに対し、ケア後は3日目、4日目が増加した。産褥早期から乳汁分泌があれば、入院中の早い段階で母乳栄養のみになりやすく、また乳管が開通しているために、産後の乳汁分泌もスムーズで母乳栄養率が大幅に上昇したと考える。また妊娠中のケアは、妊婦自身の母乳育児に対する動機づけにつながるため、なぜ母乳育児が必要なのかを妊婦自身に指導し、妊娠中から母乳意欲を向上させておくことは、産後の母乳育児の継続につながりやすいと考える。
IV.結論
1)妊娠中の乳房チェック・乳頭ケアは、乳頭の柔軟化をはかり、産褥早期から乳汁分泌が増加する。
2)産褥早期から乳汁分泌があると、母乳栄養のみに移行する時期が早くなる。
3)妊娠中の乳房チェック・乳頭ケアを行なうことは、妊婦自身の母乳意欲を増加させ、母乳育児継続につながりやすい。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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