日本農村医学会学術総会抄録集
Online ISSN : 1880-1730
Print ISSN : 1880-1749
ISSN-L : 1880-1730
第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1N11
会議情報

一般演題
脱臼予防の抱き枕を検討して
松尾 和子鈴木 和世*市來 由香里岡本 美佐代
著者情報
キーワード: 脱臼予防, 抱き枕, 安楽
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【はじめに】
 当病棟では、大腿骨頸部骨折や変形性股関節症の方を対象に人工骨頭置換術や人工股関節全置換術が行なわれている。人工物を挿入するため、術後の合併症として脱臼の危険性がある。そのため術後2週間は脱臼予防のために股枕が使用される。股枕除去後も脱臼を起こさないために下肢を内旋するような体位を避ける必要があり、患者様は患側を上にして寝返りを打つことができない。そこで術後2週間経過した患者様に脱臼予防が確実にでき、なおかつ患者様が安楽に寝返りを打てるような枕を考案しようと研究に取り組んだ。前回の研究では市販の抱き枕を使用したが、市販のものでは、安楽が重視されており、脱臼予防という視点からみると弱いものであった。そのため去年の結果をもとに脱臼予防という視点から抱き枕を作成し検討した。
【研究方法】
(1)実施期間 H16・6・1からH16・12・31
(2)対象者  A棟2階病棟 看護師18名(作成枕の試用及びアンケートの回答)
       H16・6・1以降に人工骨頭置換術後の患者5名中の1名
       H16・6・1以降に人工股関節全置換術後の患者6名中の3名
(3)方法  1、昨年の結果をもとに抱き枕を1つ作成、看護師が使用しアンケート調査を実施
      2、看護師のアンケートをもとに検討後、当院で人工骨頭置換術、人工股関節全置換術を受けた患者4名に作成した抱き枕を適応し、その後アンケート調査した
作成した抱き枕の形状
 大きさ(長さ1m、太さは左から32.5cm、28cm、32.5cm) 
  中身の素材はパウダービーズ、布は裏地ナイロン素材、カバーは綿ジャージ 
 【結果・考察】
 看護師アンケートより、確実に脱臼予防ができると思うの回答が10名、 そう思わないが8名。安定性があると思うの回答が16名、思わないが2名。安楽だと思うが12名、思わない4名、無回答2名であった。医師にX-Pによる検証を1名行なってもらった結果、球心位が獲得され、外転の保持ができれば脱臼はしない。拘縮の有無、他関節の障害の影響も考慮すると意見をいただいた。現在の股枕は脱臼予防の点では良いが、安楽の視点では弱いものであった。今回作成した枕は安楽、安全の視点から寝返りも打ちやすく安定性もあり脱臼予防にも適している。大きさについては、150cm代の身長の方を対象に作成したため、それ以下の方には評価は低い。素材肌触りについてはいずれの患者からも良い評価が得られた。
【まとめ】
 脱臼予防と安楽の視点から抱き枕を作成し、効果的な抱き枕を患者に提供できた今回は標準サイズの枕を作成したので、今後は素材や大きさなど個別性をふまえた抱き枕を検討し、患者様の脱臼予防と安楽を考え、検証していく

著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top