日本農村医学会学術総会抄録集
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第54回日本農村医学会学術総会
セッションID: 1D06
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「満足死」第30報
満足死とはハネムーンの如し
疋田 善平
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抄録

〔はじめに〕私は予防医療を旗印に僻地医療のあるべき姿を求め続けて34年間、ProgressivePeopleCare(PPC医療)に励むとき、本人・家族は勿論のこと、医療チームや地域住民もが満足して大往生された症例を経験して“満足死”を提唱する。以来、毎年毎年、満足死を主テーマで報告してきたが、今回は“死”の話をタブーとする文化を持つ我が国で、死の準備教育など思いもよらぬこと、出来れば、もっともっと“死”に関心を持っていただき、特に若者にも“死”について考えてもらいたく、満足死とハネムーンをテーマに症例を通して之等の関係を考える。
〔症例〕
(その1)100歳♀老衰で満足死された。魚屋を家業とし、殺生をして生活させてもらっていると皆に感謝しつつ、日頃から南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏と極楽浄土を夢見て楽しく希望に充ち満ちて、周囲からも良かった良かったと旅立たれた。
(その2)94歳♀親神様の元に行けると満足死された。息子が転倒、腰痛で入院時、妻は体力低下、老姑の世話は無理と3人が入院する。息子の退院時、母を病院に残すと痴呆が急増悪、病室を徘徊するので退院させられるが、家に帰るや田植えを手伝う程に。だが潰瘍性大腸炎を併発、ターミナルは鐘に太鼓の大騒ぎにも親神様の元に行けると大満足。
(その3)63歳♀肝ガン、独居ターミナルも入院を拒否。汚物にまみれながら、母の墓のもとで死にたいと母の墓の見えるところで満足死する。子どもの頃から母と離れての生活で、母との絆が薄かったので非尊厳であっても自分の願う在宅死を選んだ。
(その4)84歳♂漁業、老衰、自宅で満足死する。家族に囲まれてのターミナルに綺麗な船が迎えに来たと笑いを浮かべて満足そう。子ども等は「父さん乗っちゃいかん、乗っちゃいかん!!」と言うのに、ニッコリと笑顔で。
〔むすび〕何れの症例も未知の処に行くのに、自らが望む、浄土であったり、親神様の元であったり、母の元であったりと、希望する処へ楽しく、歓んで、皆々様に感謝しながら旅立たれたのは、丁度ハネムーンに飛び立つ心とよく似ていませんか?満足死は自分が望み、皆様に感謝しながら、周囲の皆様に納得されながら旅立たれるのですから、等々考えると同じ死でも“満足死”することは、マイナスイメージでなくプラスのイメージでハネムーンのイメージと相通ずるものがありますから、もっともっと満足死が若者の日常会話になれば有難い。

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© 2005 一般社団法人 日本農村医学会
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